「口金つきとはどういうことですか?」という質問をいただきました。
「口金」とは、包丁のハンドルと刀身をつなぐ部分に施される加工のことです。
細かい定義があると思うのですが、弊社では、「接合部分が滑らかに溶接されているもの」と考え、オススメしています。
弊社「PROCEED」はもちろん口金式です。
写真の赤丸が弊社がオススメしている口金です。
緑丸は刀身を挟み込むタイプの「挟み込み式の口金」、青丸は和包丁に見られる「差し込み式」です。
赤丸の口金のメリットは、「汚れが溜まらないこと(衛生面)」と「強度が上がること」です。
デメリットは価格が少し割高になることです。
以下、衛生面と強度について書きます。
◎衛生面
汚れの溜まりについては以下の写真を参考にしてください。
赤丸タイプは何年使っても汚れが溜まらないことがわかると思います。
赤丸タイプ(溶接タイプ)
汚れないので衛生面で優れています
緑丸タイプ(挟み込みタイプ)
刀身との境目に汚れが溜まります
青丸タイプ(差し込み式)
昔ながらの和包丁に見られる構造です 汚れもサビもあります
◎強度
強度でも、赤丸タイプの口金が優れています。
赤丸タイプは、ハンドルと刀身の境目がカーブしながら滑らかに溶接されているため、応力が集まりにくくなっています。
緑丸タイプの口金は、応力がハンドルと刃の「境目(汚れが溜まっている部分)」に集中してしまうため、赤丸タイプと同じ刀身を使った場合、強度的に弱くなります。
青丸タイプは木柄に刀身を差し込んでいるため、根本的に構造が違うことや、金属が錆びやすいことなどもあり、ハンドルと刀身の「付け根部分」は衛生面と強度面で劣ります。
研ぎの依頼を受けると、青丸タイプの包丁は、付け根部分が傷んでいるものが多くあります。
和包丁の場合、応力が集中すると刀身が曲がらず木柄が変形し、そのスキマに汚れが入り込んでしまうことがあります。
また、プラスチックのハンドルに刀身を差し込んだだけの包丁の場合、包丁がムリな動きをするとハンドルが割れてしまうこともあります。
以下は包丁の口金部分を上から見た拡大イメージです。
赤丸タイプの口金は、衛生面で優れているだけでなく、強度面でも優れているとわかります。
以上「口金」についてでした。
紹介したものは一部です。
他にも様々なタイプの口金があります。
包丁を選ぶときのヒントにしていただけたらと思います。